NTT法改正案を分かりやすく解説

こんにちはあつたろうです。
今回は2024/4/5に衆院本会議にて閣議決定されたNTT法改正案なのですが同日に市場も株価も同時に大きく下落してしまいました。個人的な意見としては押し目を作っているので買い一択だと思います。
しかし一気に全力買いではなく、ちまちま押し目を拾っていくスタイルで良いと思います。

さて、今回はNTT法の改正案を分かりやすく解説していこうと思います。

NTT法とは?

NTT法は日本の通信制度において中心的な役割を果たす法律で、日本電信電話株式会社(以下:NTT)に関連する規定を含んでいます。この法律は、通信産業の発展、通信インフラの整備、利用者のプライバシーの保護などを目的としています。

NTT法の条文:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=359AC0000000085

  1. 目的と概要:
    • NTT法は、通信産業の発展や通信インフラの整備、利用者のプライバシーの保護などを目的としています。
    • 通信サービスを提供する会社が必ず守らなければならないルールを定めています。
  2. NTT法の特徴:
    • 政府が3分の1以上の株を保有:
      • NTT法では、NTTの株式の3分の1以上を政府(財務大臣)が保有することを定めています。
      • 政府が株を保有するのは、税金で構築した通信インフラを、NTTが政府の許可なく使い、利益だけを追求することを防止するためです。
    • 通信事業者の競争促進:
      • 各通信会社同士の競争を保証しています。
      • 競争によりサービスの質が向上し、料金が安くなることが期待されます。
    • 品質・安全性・安定性の確保:
      • 個人情報の保護や契約条件の明確化など、品質・安全性・安定性に関するルールが決められています。
    • 通信サービスの普及と地域間の格差解消:
      • 地方地域や離島などでも高品質かつ手頃な価格で通信サービスが提供されるよう、適切な政策や支援措置が実施されています。
    • 国際規制との調和:
      • 国際的な通信規制の整備を保証しています。
    • 研究成果開示の義務:
      • NTTが研究成果を開示する義務があります。

NTT法改正案の内容

総務大臣からの認可に関する規制の緩和

現行のNTT法では、法規制を受ける3社(日本電信電話株式会社、NTT東日本、NTT西日本)が特定の行為をする場合に総務大臣からの認可を得る必要がありました。

【特定の行為とは?】

  • 株式の新規募集や株式交換を行う場合
  • 取締役/執行役/監査役の選任および解任の決議
  • 定款の変更や、合併/分割/解散の決議、NTTの剰余金の処分
  • NTT東日本/西日本が電気通信幹線路や重要設備を他者に譲渡または担保にする場合

研究開発の開示義務の撤廃とは?

NTT法の第3条にはNTTのR&D(開発部門)の研究成果は広く公開しなければならないとされている。
NTTは共同研究に参加する際の足かせとなっていると訴えていた。今回の改正案では研究の自立性を向上することを目的として、NTT法第3条の文章から解釈の根拠となっている文言を削除して。秘密保持契約の締結が必要な共同研究にも参加しやすくなるとされています。

第三条 会社及び地域会社は、それぞれその事業を営むに当たつては、常に経営が適正かつ効率的に行われるように配意し、国民生活に不可欠な電話の役務のあまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な提供の確保に寄与するとともに、今後の社会経済の進展に果たすべき電気通信の役割の重要性にかんがみ、電気通信技術に関する研究の推進及びその成果の普及を通じて我が国の電気通信の創意ある向上発展に寄与し、もつて公共の福祉の増進に資するよう努めなければならない。

日本電信電話株式会社等に関する法律

外国人役員に対する規制の緩和とは?

「能力や意欲があっても責任のある立場に就けない」ということが外国人従業員のモチベーションの低下を招くとの指摘もある。また、NTTグループにグローバルかつ多様なマネジメントを導入する機運が高まらないとの声も挙がっている。代表権のない取締役・執行役または監査役であれば、全体の3分の1未満の範囲であれば外国人の就任を認める

社名の変更が可能になるとは?

現在のNTTは持株会社であり、NTT東日本・NTT西日本と分割されました。この二つの会社は通信事業における主力は光ブロードバンド回線の提供となっており、母体のNTTは祖業ではあるのですが主力ではないのです。NTTの島田明社長は総務省の有識者会合で「電信も電話も、事業主体とマッチしていない。自社で社名が変更できるよう配慮いただきたい」という旨のアピールもしていました。

そういったこともあり、NTT法の改正では第1条の変更をして、第8条の内容を「商号の使用制限」から「商号の変更」に改めて、会社名を変更できるようにしました。

剰余金の処分は認可不要とは?

まず剰余金とは、企業の貸借対照表において、純資産の部に含まれる要素で、株主資本を構成する一部です。つまり決算書にある利益余剰金の一部を売却できるようにしたということです。これにより政府が保有するNTTの株を売却できるようにしたということです。

NTT法廃止の検討

NTTの廃止を含め検討2025年の通常国会をめどに、NTTへの規制の見直しを含む電気通信事業法の改正など必要な措置を講ずる法案を提出とのことです。

なぜ政府保有株を売却するのか?

政府の目的は、防衛費の財源確保のためと公表されていますが実際の所は分かっていません。
防衛費を賄うのであれば国債でも充分だと思いますが、これだけ国債を発行して借金漬けになっているので今更な気もするのですが、本格的な議論はこれから出てくると思いますので。動向には注意が必要です。

まとめ

NTT法というのは我々民衆が離島に住んでようがどこに住んでいようが必ず設備を設置する義務が生ずるという法律でもあるのですが、この法案を廃止して営利企業になると不採算事業である離島などの設備は撤退してしまう可能性もあります。

またNTTの持つ電波塔や途中の配線などの使用料も他の事業者が間借りしているので、その使用料として値上げをしてくる可能性もあります。そうすると我々が使っている携帯料金に上乗せされるかもしれません。今は改正案だけが来年の国会に向けて動いているのですが、廃止も含めた検討もこっそりと盛り込んでしまうので他事業者の方が反対しているのです。

IOWN構想についての詳しい解説は別ページになります。

▼信用買い残売り残について▼

▼ファンダメンタル分析のやり方▼


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