NTTのIOWN構想についてまとめてみた
こんにちは管理人の あつたろう です。昨年、株式を25分割した日本電信電話(以下:NTT)のIOWN構想(アイオン)ですが、株価は2024年3月現在180円ほどで推移しているのですが投資対象としてどうかなと思い色々深掘りしていこうと思います。

IOWN構想とは?
まずはじめに何故IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)が必要なのか?って所なのですが世界における「データの量」「データ伝送量」「処理量」が年々増えていることが挙げられています。今後AIを使った高性能な自動運転や宅配ドローンが出てくるとその情報量が膨大となりデータセンタで新たなサーバーを増設をしたりする必要があるため、消費電力が増加することになります。そうすると、地球温暖化の原因の二酸化炭素の排出量の増加、化石燃料などのエネルギー消費量が増加して枯渇する恐れがあります。
国際環境経済研究所ではデータセンタの消費電力量(1TWh = 1兆Wh)(TWh = テラワットアワー)合計値が世界規模では2018年~2030年にかけておよそ17倍となっています。

データセンターの消費電力量の推定値
(出所:「AIのエネルギー消費に関する雑感(その1)」国際環境経済研究所)
https://ieei.or.jp/2022/07/expl220701/
そのためCO2やエネルギーの消費量を削減するという世界情勢に逆行してしまうため、「低消費電力」「大容量・高品質」「低遅延」の3拍子揃った新しい技術「光電融合技術」が必要となってくるのです。そして一企業だけでは知識、見識が及ばないため様々な企業からの助言を得てIOWN構想を通じて世界中のデータセンターの電力消費量を抑える社会を目指すということです。

オールフォトニクス・ネットワークの目標性能
(出所:「オールフォトニクス・ネットワークの目標性能」NTT 研究開発)
https://www.rd.ntt/iown/0002.html
未来はどうなるのか?
電力効率を100倍
伝送容量を125倍
エンド・ツー・エンド遅延を200分の1
IOWNは、NTTなどの様々な企業が推進している取り組みで、すべての電子機器を光デバイスに置き換え、それらを結ぶネットワークにも光技術を導入することで、通信の低消費電力化、超高速大容量化、低遅延化を実現する計画です。これは、従来の電子デバイスと電波による通信から光デバイスと光通信に移行することで、通信技術の革新を目指しています。
光回線技術は、情報通信の分野で急速に進歩しており、データの転送速度や容量が飛躍的に向上しています。この技術の進化により、高品質な映像や大容量のデータを迅速かつ安定して送受信することが可能になり、現代のデジタルライフスタイルに不可欠な要素となっています。
また、IOWNの参加企業は、次世代の光回線技術の開発に注力しています。これにより、従来の光ファイバーよりも高い伝送容量を持つ新しい光ファイバーの開発や、独自の光技術を活用した次世代通信基盤の実用化が進められています。
この技術の進化は、通信技術だけでなく、持続可能な社会の構築にも大きな影響を与えると期待されています。例えば、エネルギーの効率化や環境負荷の軽減、スマートシティの構築など、さまざまな社会的課題への取り組みを加速する要因となるでしょう。
いつ頃から使えるの?
NTT東日本、NTT西日本では2023年3月16日(木)に (All-Photonics Network 略 : APN) APN IOWN1.0として商用利用は開始されているとのことでした。それとAPN IOWN1.0上での遅延の可視化と遅延調整機能を備えた端末装置「OTN Anywhere」も同時に販売しているとのことでした。
(出所:「APN IOWN1.0の提供開始について」NTT東日本)
https://www.ntt-east.co.jp/release/detail/20230302_01.html
NTT法の規制とは?
- 公正競争の維持:NTT法の廃止により、NTTグループ企業の合併や特別な資産の譲渡が可能になり、公正な競争を保つためにNTT法と電気通信事業法の規制の両輪が必要との主張がある。
- ユニバーサルサービス:NTT法によって全国の電話サービス提供が義務付けられているが、NTT側と3社の見解に乖離があり、対象範囲やサービス提供地域についての議論がある。
- 外資規制:NTT法では外資比率が定められているが、特殊な資産を持つNTTの経済安全保障の観点から外資規制が必要との意見がある。
- 海外との比較:NTT法の廃止に対する海外規制状況の比較から、NTT法廃止の前提条件が整っていないとの主張がある。
- 公社承継資産:NTT法に基づく公社の承継資産の所有権について、NTTと3社の見解の相違があり、解散するまでの所有権の議論がある。
- 技術の公開義務:NTT法による技術の公開義務について、実際の影響や議論がある。NTTは公開の基準や技術提供に関する方針を説明している。
- 政府の保有株比率:政府の保有株比率を引き下げる法改正が検討されており、海外資本の買収や通信の安全保障上の懸念がある。政府は国際競争力と経済安全保障の両立を目指して調整している。
IOWN構想のロードマップ

(出所:「光電融合技術とは」NTT技術ジャーナル)
https://journal.ntt.co.jp/article/5963
Step1: ファイバとシリコンフォトニクスにより実装された回路やアナログICを集積した構造を実現し、チップ外部との接続速度を高速化します。
Step2: チップ間を超短距離の光配線により直接接続し、情報処理能力を向上させます。
Step3: チップ内のコア間を光配線で接続し、光の特性を活かした光トランジスタや光パスゲート技術を適用して低消費電力化するとともに、演算を光回路の通過時間のみで瞬時に実現します。
このロードマップにより、2030年までに光電融合技術を実用化することを目指しています 。光電融合技術の実現により、新たな活用シーンが生まれ、高精細な情報伝送や人間の五感を拡張する可能性が広がります。例えば、遠隔手術やインタラクティブな通信品質が求められる場面での実用化が期待されています。
IOWN構想参加企業
2024.3.23時点での情報です。(量が多いので少しずつ更新してます。)
名前の箇所にどういった企業か分かりやすいようにリンクしてあります。
1段目をWikipedia
2段目を企業HP
(Wikiへのリンクが無い所もあります。)
学術および研究員(40) | |||
---|---|---|---|
・電力中央研究所 ・IR CRIEPI(Central Research Institute of Electric Power Industry) | ・台湾クラウドIoT産業協会 ・台灣雲端物聯網產業協會 | ・広島大学 ・Hiroshima University | ・工業技術研究院 ・ITRI |
・資訊工業策進會 ・Institute for Information Industry | ・宇宙航空研究開発機構 ・JAXA | ・慶応義塾大学 ・KEIO University | ・名古屋大学 ・NAGOYA University |
・国立情報学研究所 NII | ・防災科研 NIED | ・大阪大学 村田研究室 | ・技術研究組合光電子融合基板技術研究所 PETRA |
・光電科技工業協進會 ・pida | ・SBI大学院大学 ・SBI Graduate School | ・滋賀大学 ・SHIGA University | ・台灣資通產業標準協會 ・TAICS |
・産業技術総合研究所 ・AIST | ・東京大学 ・The University of TOKYO | ・東北大学 ・TOHOKU University | ・早稲田大学 ・WASEDA University |
アフィリエイトメンバー | |||
---|---|---|---|
・アイビーエム ・IBM | ・ネットクラッカー ・Netcracker |
まとめ
NTTはディフェンシブ銘柄の一つで光通信や電話といったライフラインに欠かせない業種となります。そのため景気の動向に左右されにくく、長期保有にはもってこいだと思います。決算も毎年黒字で自社株買いや増配も行っている優良企業となります。
しかし黒字だからといって株価にとっては良いことではありません。キャピタルゲイン(株価の上昇)を狙っていたとしても織り込み済みで決算前に下落するということもあります。
ファンダメンタル分析で優良企業を見つけた後はテクニカル分析でロウソク足や移動平均線、ボリンジャーバンドなどを使ってエントリーポイントを探らねばなりません。またどんなに優良企業でも決算で赤字を出すと下落してしまうので決算書は必ず読むようにしましょう。
いくら自分がこの会社は絶対上がると自信があっても全力買いは避けましょう。自分の許容できる範囲でのリスクで株価と向き合うことをオススメします。少しでも耐えられないという方は毎月100株の購入で分散してもいいと思います。IOWNは始まったばかりなので良くも悪くもボラティリティが低く、株価が急上昇するということは無いので急いで買い集める必要はないかなと思っています。
IOWN構想についての詳しい解説は別ページになります。
▼信用買い残売り残について▼
▼ファンダメンタル分析のやり方▼
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